「ぜひあなたの家に」 04.10.03
ルカ19:1〜10
「失われたものを捜して救うために来たのである」と、主はご自分の
ことをおっしゃいます。ザアカイも私たちも、主イエスに捜され救われた
者です。
徴税人は、ユダヤ社会の中で嫌われ、捨てられた人です。
支配国ローマのために働き、しかも不正な取立てをするからです。
ザアカイ(義しい人との意味)は、最初から徴税人になりたかったのでは
ないはずです。軽蔑され、差別されるような職になりたがるでしょうか。
どのような経緯があったのかはわかりません。背が低かったと事も一つの
要因かもしれません。「人を見返してやる」との思いから、富と権力を手に
入れやすい徴税人の道を進んでしまったのではないでしょうか。
願っていない道に進んでしまうことがあります。
徴税人の頭となったものの、ザアカイは心が満たされていませんでした。
ですから、他の町で徴税人の友となられた主イエスが気になりました。
「噂のその人に会ってみたい」そんな思いが、ザアカイを走らせ、木の上に
登ることまでさせました。
驚くべきことに、「ぜひあなたの家に泊まりたい」と主がおっしゃいます。
単なる願いではなく「泊まらなければならない」という強い決意のこもった
言葉です。泊まらなければならないのは、神さまの約束の中にあるザアカイが、
本来あるべきところから失われて、思わぬ所にいるからです。願っていたので
ない所で生きているからです。
それは、本来の所に戻すべきです。ゆえに泊まらなければならないと
おっしゃるのです。
人々は、ザアカイを神と人から捨てられた人と見ていたでしょう。
ザアカイ自身もそう思って、あきらめと開き直りの心に覆われていました。
しかし、主にとって彼は「捨てられた」でなく「失われた」であり、元に戻される
べき存在でした。
ザアカイは、主イエスを迎え入れ、本来の自分を取り戻していきます。
見返す心から、愛する心へと変えられていきます。
主につながっている喜び、自信、安心が、本来の姿へ変わることを
可能とします。